はじめに・・・

「イリヤッド」大好き!

こんにちは、

このブログの管理者nekotamaです。

私は、小さいころから古代地中海の文明について読むことが
大好きでした。

小学校の中学年のときの憧れの人は、
トロイ遺跡を発掘したシュリーマンでした。
昔は、本気で考古学者になろう!と夢見ていたものです。

さて、私がこの「イリヤッド」を知ったのは、
2007年に入ってからでした。

古代史好きの私は、もう第1巻を読んですぐに夢中になってしまい、
あっという間に全巻買い揃えました。

「インディ・ジョーンズ」と「ダビンチコード」を足して、
人情話というスパイスを入れて二で割ったような、面白さ!

連載が終了してしまってさびしいです。

イリヤと仲間たちには、
いつまでも夢を追いかけて駆け回っていてほしかった…

そんな気持ちから、このブログを立ち上げました。

イリアッド・ファンの方、考古学やミステリー好きの方、
ぜひ楽しんでいってください。

コメントやトラックバック大歓迎です!

なお、まだ「イリヤッド」を読んでいない方、このブログにはネタバレ・データが多く含まれています。

ちょっとでも「面白そう!」と感じたら、まず原作自体を読んでみることをお勧めします。

イリヤッドの謎

イリヤッド、最後の謎、とは?

イリヤッド第15巻で明かされる「人類最大の謎」に関しては、読者の皆さん賛否両論だと思います。そうですね、イリヤとグレコ神父のやりとりは正直言ってわかりにくいと思います。また、タルテッソス遺跡の壁に書かれた古代文字も解読されていないわけですから、実際にはすべての謎が解き明かされたわけではありませんよね?

しかし、何が人類のタブーであったのかについて、その概要がなんとなくつかめました。

15巻192ページ
アダムとイブの子は絶滅寸前だった…
大自然に翻弄され獣のえさにすぎず…
日々不安で眠ることもできなかった。

夢を見る能力すらなかったのだ。

だが彼らは、よく夢を見た。


「アダムとイブの子」は、明らかに現人類であり、「彼ら」はネアンデルタール人のことを指していると思われます。

一般的にネアンデルタール人は約20万年前に出現し、約3万年前に滅亡したと考えられています。すると、3万年以上前に現人類(初期のアトランティス人?)とネアンデルタール人とが接触し、そこで何らかの交流が起こった、ということになります。

192ページ
彼らは聖者や高僧のように夢想し、
心のカンバスに絵画を描くこともできた。


これは、ネアンデルタール人が、非常に精神的な存在であったことを示唆しています。

193ページ
我々は言葉を…
彼らは夢を教えた。

その後我々は
飛躍的に進化した…

ようやく神と交信できたのだから…


ここが少し解釈に苦しむところでした。「神と交信」というのは、「宗教の起こり」を意味しているのでしょうか?

さて、ここでひとつ取り上げておきたい問題があります。

ここでは「人類の禁忌」と言われてはいますが、これは「全人類の禁忌」ではないのです。たとえば、張先生の言葉を借りれば、

神がおらず
自分が偶然の産物なら、
実在とはとてもおそろしいことだと理解しながら…

あえて、どんな事実でも冷静に受け入れる度胸のある日本人


にとってはこれは禁忌にはなりえない。無神論者にとっては大して問題ではないということです。

そうすると、その謎というのが絞り込まれます。つまり、これは信仰の問題、神と人間の関係における何かである、とわかります。

少しさかのぼりますが、14巻でのグレコ神父とバチカンのマイヤー神父との会話を見直して見ましょう。

65ページ
彼らは中東で、
"山の老人"といわれる結社から
彼の島の秘密を聞き出し…


あの言い伝えが異教徒の間ですら、
ゆゆしき秘密であることを証明した。


ここでは、中東のイスラム教徒にとってさえも、それが脅威であったことが示されています。

さて、15巻に戻ります。

207ページから208ページ
か…彼の島が沈んだのは、
人々が絶望したからだ。

神が最初に選んだのは彼らであり、
我々ではなかったからだ…



…彼らは狒々を指差し、
次のお前たちだといった…


ここでイリヤは、それが進化論であるとします。

進化論が人類の秘密?

そうですねー、今では誰でも進化論については知っています。しかし、それが本当に受け入れられているかどうかは別の問題です。

以下、エンカルタ大百科事典からの引用です:

進化論には、進化の実在を主張する理論と、進化のメカニズムを説明する理論という2つの意味がある。前者は、キリスト教原理主義者が、生物は神によってつくられたとする聖書の記述を信じて、創造説をとなえるのに対比していわれるもので、歴史にあたえた進化論の影響もこの意味においてである。進化の事実は、化石および地質時代の記録、現在の生物の地理的分布と各地域の生物相、および分子進化学(→ 進化生物学)的な証拠によって、科学的には疑いの余地なく確立されているが、アメリカ合衆国などでは現在も創造説を信じる人が多く、教育の現場を中心に論争がつづいている


どうでしょうか?

「科学的には疑いの余地なく確立されているが、アメリカ合衆国などでは現在も創造説を信じる人が多く」とありますよね。

進化論は、聖書の創世記に述べられている人類の父・アダムの誕生---神が、神自身に似せてアダムという人間を作ったという説と真っ向から対立するものです。

実際に、以前にあるキリスト教徒の方と話した際に、「進化論に関してどのように捉えていますか?」と聞いたことがあります。彼女はキリスト教の学校に通っていたとき、授業で進化論を学んでいますが、教師は、「まあ、このような説もあります」とコメントしていたということです。

イスラム教で進化論がどのように捉えられているのか、以下のブログをご覧ください。

     ⇒イスラーム世界がよくわかるQ&A100  

ここで、世界のすべての創造神話を取り上げることはしませんが、ほとんどの文明には創造神話があり、それらは自分たちがどこからきたのか、神と自分たちとの関係とは何か、自分たちの存在意義とは何か、といったその民族のアイデンティティーの一部をなす重要な思想であると私は思います。

ですから、その根本的な思想に真っ向から対立するような事実がもたらされたとき、その民族はひどく動揺し、その事実を受け入れられない場合、それを「秘密」として封印するに違いありません。

さて、イリヤッドの「人類の秘密」とは具体的に何なのか、残念ながら私には完全に絞り込めませんが、進化論に関すること、別に神が自分に似せて自分たちをつくったわけではなく、サルが現人類になったのだというような考えなのでしょう。

まあ、無神論の日本人以外にも、仏教徒やヒンズー教徒にとっては、これはあまり脅威ではないかもしれませんね。だって、人間は他の動物に生まれ変わってしまうんですから。











イリヤッドを楽しむための参考書

未来への遺産

未来への遺産」は、1974年にNHKで放映された、世界中の遺跡を紹介するドキュメント・シリーズです。

もう30年も昔の番組なので、今見ると少々古臭いところもありますが、武満徹の壮大な音楽に乗せて、さまざまなテーマで貴重な遺跡の映像が紹介される、古代文明ファンにとっては垂涎もののプログラムでした。



この「未来への遺産」、DVDでも発売されていますが、なんとパソコンテレビ[ギャオ]で、無料で観られるのです!

以下のリンクからどうぞ!

パソコンテレビGYAO

 Vol.1 失われた時への旅
 ヨルダンのペトラ遺跡など、さまざまな遺跡や文化財を取材し、
 その美しさを描き出す。

 Vol.2 天は語らず 大地をして語らしむ
 マヤ文明発祥の地グアテマラなど、
 かつて高度な文明を誇った遺跡が滅びた謎に迫る。

 Vol.3 天は語らず 廃墟をして語らしむ
 バベルの塔があったイラクのバビロンなど
 遺跡に残る古代人の喜び・哀しみ・願いを今に伝える。

 Vol.4 天は語らず 人をして語らしむ
 シュリーマンとシャンポリオン。2人の天才の数奇な生涯と、
 その業績をたどる。

 Vol.5 誰がどんな情念で 1
 ピラミッドやモアイなどの、
 巨大建造物&彫刻を作った古代人の情念を探る。

 Vol.6 誰がどんな情念で 2
 古代から見られる世界各地の空白充填への情念と、
 装飾文様の壮大な交流を追う。

 Vol.7 誰がどんな情念で 3
 ナスカの地上絵群など、誰が、
 どんな情念をこめてこれらの文化を残していったかを探る。

 Vol.8 はるかなる伝言(1)〜石の言葉・砂の言葉〜
 遺跡を構成する建築や彫刻、壁画、文様、文字などを通して、
 古代人の伝言を探っていく。

 Vol.9 はるかなる伝言(2)〜聖なるかたち〜
 日本の神社などを紹介しながら、これらの建築や装飾を通して、
 人類の心の系譜をたどる。

 Vol.10 壮大な交流(1)
 シルクロードの終着駅と呼ばれる正倉院を交流した
 美術工芸品とともに、古都の姿を紹介。

 Vol.11 壮大な交流(2)
 中世以降の東西交渉は、“陶磁の道”によって象徴される。
 その陶磁器の交流をたどる。

 Vol.12 壮大な交流(3)
 二つの戦争を例に戦いや勢力争いが、
 結果として文明を発展させて行く姿を見ていく。

 Vol.13 ヴィーナス 彼女の周辺
 ミロのヴィーナスを代表に、世界各地の愛と美、
 豊饒と麦産を司る女神ヴィーナスを紹介。

 Vol.14 心のなかの宇宙
 様々な聖地を訪れながら、
 人間の描き求めてきた神秘的で壮大な宇宙像の数々を描く。

 Vol.15 破壊・修復・再体験
 文化財の破壊と修復の論理を紹介しながら、
 想像力の回復による体験の必要性を考える。

イリヤッド・エピソード集 第1巻

第1巻 File 1:アトランティス

オーストリア、ウイーン ― ドイツ圏屈指の貿易商であるヴィルヘルム・エンドレは、6人の世界有数の資産家を集め、驚くべき計画を打ち明ける。シュリーマンの孫、パウロ・シュリーマンの日記を手にしたエンドレは、そこに人類最大の謎を解き明かす鍵を見出し、その秘密を解き明かそうとしているのだという。そして、その計画に賛同したものたちは、ある謎の組織に命を狙われるであろうと述べる。その組織は、紀元前から存在し、シュリーマン、プラトンらの命を奪ったというのだ。このため、エンドレは参加者全員に古代ギリシャの神々の面をつけさせ、危険がないとわかるまで、お互いを仮面の名で呼び合おうと提案する。エンドレは、この謎を解き明かす候補者として、「英国中を騒がせた日本人」イリヤ・シュウゾウの名前をあげ、一同を驚かせる。

エンドレは、娘のユリに会い、自分の夢アトランティスを追うために、社長を退いたことを告げ、日本に行って入矢修造を探して欲しい、と彼女に頼む。

日本、東京文京区団子坂 ― 古道具屋「入矢堂」に妙にこにくらしい男の子瑠依をつれた父親が訪れる。彼は、チャーチワードの「幻のムー大陸を求めて」を見つけ、売って欲しいと店の主人修造に言うが、修造は、チャーチワードは詐欺師だから、とその本を売ろうとしない。

かつて考古学者だった入矢修造は、あるスキャンダルによって学会を追われ、今は夢をなくしたかのような毎日を送っている。

「入矢堂」を再度訪れた瑠依の父親に、アトランティス伝説について尋ねられた修造は、アトランティスの存在には懐疑的だった。彼は、シュリーマンの次の夢がアトランティスの発掘であり、彼がトロヤから「アトランティス王クロノスより」と書かれたフクロウの形をした壷を発掘したといわれていることを話す。

一方、ウイーンのエンドレは、シュリーマンの背後に存在したかもしれない陰謀について娘ユリに語る。彼が呼び集めた資産家のひとり、ジョン・オコーナの乗ったジェット機はカナダ上空で空中爆発している。ユリと別れたエンドレは、自家用車の運転手が射殺されているのを発見する…


★このはじめのエピソードにでてくる入矢は人生に挫折した人物として描かれ、覇気がなく、シニカルです。ところで、昔からシュリーマン・ファンだった私nekotamaは、シュリーマンがフクロウ型の壷を発見するくだりでもうワクワクでした。

イリヤッド・エピソード集 第1巻

第1巻 File 2:ユリ・エンドレ

ウィーンにある道場で柔術の稽古をおこなっていたユリ・エンドレのものに、父ヴィルヘルム・エンドレが誘拐されたことを知らせる電話が入る。誘拐犯はパウル・シュリーマンの日記を身代として要求してきた。

車で約束の場所に駆けつけたユリの前に、「アガメムノンのマスク」(ミケーネで1876年にハインリッヒ・シュリーマンによって発見された黄金の仮面)をつけた男が父を連れて現れる。ユリは日記を渡すが、男は拳銃を取り出そうとし、ユリをかばおうとしたエンドレは撃たれてしまう。「あの男…イリヤに会え!!」それがエンドレの最後の言葉となった。

「入矢堂」で瑠依と店番をする入矢修造をユリ・エンドレが訪れ、シュリーマンが日本人に送った手紙を探し出して欲しいと依頼する。にべもなく断る修造。滞在先のホテル名と部屋番号を残してユリは店を去る。

その後、「入矢堂」に軍隊上がりのプロと思われる怪しい2人組が訪れる。修造はユリの父親ヴィルヘルム・エンドレこそが、学会を追われた自分を励ましてくれた恩人であったことを思い出し、売り物の隠し武器をつかんで店を飛び出していった…



イリヤッド・エピソード集 第1巻

第1巻 File 3:イリヤの涙

瑠依の父親の車に乗せてもらい、ユリの滞在先のホテルに急ぐイリヤ

一方、ウェズレー・ホテルのユリは、拳銃を持った怪しい男に拉致されてしまう。

ホテルについたイリヤは、「俺が死んでも死ななくても」チャーチワードの『幻のムー大陸を求めて』をやると瑠依の父親に言い残してホテルに入ってゆく。

ホテルマンになりすまして、ユリを敵の手から奪ったイリヤは、ユリから父エンドレが殺された経緯を聞く。イリヤはまだパウル・シュリーマンの日記に対しては半信半疑である。しかし、考古学界のスキャンダルに巻き込まれたとき唯一励ましてくれた人物・エンドレからアトランティスの探索者に指名されたと聞いたイリヤの心は動いていた…


イリヤッド・エピソード集 第1巻

第1巻 File 4:シュリーマンの使者

父エンドレとの会話を夢で回想するユリ。
「ユリ、もう一つ頼みがある…日本に行ったらお母さんの墓に行ってくれないか?」

イリヤの母の家に滞在しているユリとイリヤは、シュリーマンの手紙を受け取った人物、カイザブロウ・タカトリという侍の手がかりを追うことにする。カイザブロウを探す前に、ユリの母の眠る善福寺に墓参りに行くふたり。善福寺はシュリーマンが日本を訪問した際の宿泊地であり、そこに鷹取家の墓があった。

イリヤとユリは鷹取家の子孫の家を訪ね、鷹取甲斐三郎がモース博士のもとで考古学を学んだこと、シュリーマンの手紙をもらったが、それは戦争で燃えてしまったことを教えてもらう。そして、甲斐三郎の孫である女性がまだ存命していることも…

家人によれば、甲斐三郎の孫である女性はすっかりぼけてしまったということだった。しかし、彼女は、「あなたがシュリーマンさんのお使い?」とふたりに尋ねた…



イリヤッド・キーワード

アガメムノンのマスク

エンドレを殺害し、ユリを誘拐した犯人が被っていた仮面のオリジナルは、俗に「アガメムノンのマスク」と呼ばれています。

ハインリッヒ・シュリーマンが1876年に、ギリシャのミケーネで発見した黄金のマスクです。

これは埋葬穴の中の死体の顔の上で発見された葬儀用の仮面でした。

シュリーマンは、ホメロスのイリアッドの登場人物であるギリシャ軍の司令官アガメムノンの死体を発見したと信じ、この仮面を「アガメムノンのマスク」と呼びました。

ただし、後の考古学調査により、このマスクは紀元前1500年から1550年のもので、アガメムノンの活動期よりも数百年昔に製作されたことがわかっています。

実物は、アテネの国立考古学博物館に展示されています。

     ⇒このサイトでマスクの写真が見られます

イリヤッド・エピソード集 第1巻

第1巻 File 5:シュリーマンの言葉

甲斐三郎の孫である女性は、シュリーマンがアトランティスと思しき島の手がかりを発見したとイリヤたちに語る。そして、彼が発見した壺にはそれぞれ「日」と「月」という文字が書かれたということも…

その後ユリは、練馬区のなくなった母親の実家を訪ねる。ユリの祖母は、ユリの母と父が別れた経緯を話し、ユリは母のことを誤解していたことを悟り、涙する。

入矢堂に戻ったイリヤは、瑠依の父親に欲しがっていた『幻のムー大陸を求めて』をゆずる。そして、ユリに、一緒にアトランティスを探すと宣言するのだった。



★甲斐三郎の孫が語る、シュリーマンの言葉が印象的です:

あなたは夢を信じなさい!

なぜなら人生で生きるに値することは、
夢を追う以外にないからです!

そして、その夢を必ずかなえる方法は…

勇気を持つことです


本当に、その通りだと思いませんか?

イリヤッドの文献

イソップ物語 ミハリス・アウゲリス編

サントリーニ島出身の作家、ミハリス・アウゲリスが編集した、イソップ寓話集。「齧られた月」や「柱の王国」といった、通常版にはない寓話を含む。ワーズ&ニーヴン社刊。

★イソップ寓話集の中で、フクロウの女王の寓話を一生懸命探してしまった人もいるのでは… もちろん、このミハリス・アウゲリス編の「イソップ物語」は架空のものです。

ミハリス・アウゲリスは完全に架空の人物ですが、イソップ寓話の作者とされているアイソーポスは、小アジア出身の奴隷であったと言われています。ヘロドトスの『歴史』にその名が出てくることから、実在の人物と考えられます。

なお、ミハリス・アウゲリス版ではありませんが、「イソップ寓話」を読みたい方には、こちらをおすすめします。無料で読むことができますよ。

タウンゼント版「イソップ寓話集」日本語訳